「英語の教室で何ができるか」
「英語の教室で何ができるか」というタイトルは、英語の教室という時間・空間とそこでの活動の中で、「教師や学習者には何が可能か」と「何が生まれてくるか」という問いかけです。『英語の教室』は、単なる知識や詰め込み場所や技能の訓練所ではなく、何かが生まれる出会いの空間、何かが生み出される創作の時間であるべきでしょう。英語の教室にはどんな可能性がどれほどあるのか、また、その実現にはどのようなことが必要か、私たちに何ができるのか。日本の英語教育を牽引する先生方のお話を伺い、アイデアを出し合って、楽しく、かつ、真剣に考えましょう。
場所:オンライン会場(Zoom)
参加費:1回につき、学生1,100円、一般1,650円
*全4回を一括事前申込で割引/学生4,000円、一般6,000円)
第1回 4/23(土) 講師:大津由紀雄先生・吉田研作先生 申込締切:2022/4/21(木)20:00
第2回 5/28(土) 講師:尾島司郎先生・中川右也先生 申込締切:2022/5/26(木)20:00
第3回 6/25(土) 講師:柴田美紀先生・冨田祐一先生 申込締切:2022/6/23(木)20:00
第4回 7/23(土) 講師:白畑知彦先生・松村昌紀先生 申込締切:2022/7/21(木)20:00
*講師の紹介は氏名の五十音順です。
申込受付は終了しました。
詳細
第1回 4/23(土) 講師:大津由紀雄先生・吉田研作先生
「英語の教室で何ができるか」の第1回には、大先輩お二人にご登壇いただきます。申し上げるまでもなく、講師のお二人は、英語教育の研究者や教師の養成をはじめ、政策提言や現場指導、言語習得研究・教材開発・テスト開発など、長年にわたり様々な面から日本の英語教育に大きな影響を与えていらっしゃいました。一方で、現状の英語教育の良い点・悪い点、教育行政や教員養成に関するお考えなど、異なる視点や方向からのご提言も多いようにお見受けします。お二人のお話を伺い、様々な可能性を考えたいと思います。
講師紹介
大津由紀雄先生
Ph.D.(マサチューセッツ工科大学)。一般社団法人「ことばの教育」代表理事。関西大学・中京大学客員教授、慶應義塾大学名誉教授。日本認知科学会会長、言語科学会会長、日本英語学会副会長、東京言語研究所運営委員長などを歴任。『日本語からはじめる小学校英語―ことばの力を育むためのマニュアル』共編著(開拓社 2019)、『どうする、小学校英語?—狂騒曲のあとさき』共編著(慶應義塾大学出版会2021)をはじめ、日本の英語教育に関する多くの著書・論文がある。

吉田研作先生
大学院博士課程修了(ミシガン大学)。公益財団法人日本英語検定協会会長。上智大学名誉教授。文部科学省「英語教育の在り方に関する有識者会議」座長など、英語教育行政でのご活躍のほか、日本での英語学習者向けのテスト(TEAP)開発、高校など英語教育現場での精力的な教員研修の指導などもよく知られている。『小学校新学習指導要領の展開 平成29年版外国語編』編著(明治図書出版 2017)をはじめ、多くの著書・論文がある。

第2回 5/28(土) 講師:尾島司郎先生・中川右也先生
「英語の教室で何ができるか」の第2回には、英語教育学の専門家のお二人にご登壇いただきます。お二人は教員養成を行う学部の教授・准教授であり、同時に、地域社会や産業界とのつながりでもご活躍なさっています。研究という点では、尾島先生は、言語学や脳科学から人間のこころや認知のメカニズムを解き明かす研究をなさっており、一方、中川先生は、認知言語学に基づく第二言語習得研究やICTを用いた英語教育の研究をなさっています。教育界の中堅でエネルギー溢れるお二人から、「英語の教室で何ができるか」について、興味深いお話を聞かせていただけることと存じます。
講師紹介
尾島司郎先生
Ph.D.(エセックス大学)。横浜国立大学教育学部教授。横浜国立大学ベストティーチャー賞受賞(2020年)。脳科学に基づく第二言語習得研究について多数の出版があるほか、インターネットを通して、研究の成果や英語教育に関する提言を、英語で世界に向けて数多く発信している。『第二言語習得論と英語教育の新展開』共編著(2020年、金星堂)、Children’s Learning of a Semantics-Free Artificial Grammar with Center Embedding, Biolinguistics 14 (2020) など、多くの著書・論文がある。

中川右也先生
博士(教育学)(愛知教育大学・静岡大学)。三重大学教育学部准教授。小学校英語教育学会賞受賞(2021年)。文部科学省認証 英語教育推進リーダー。元中学・高校教師であったことから、教育に寄与することを目的に言語学や教育工学などの知見を基にした研究をおこなっている。『英語のしくみと教え方―こころ・ことば・学びの理論をもとにして』共著編(くろしお出版、2020年)、「認知言語学の知見を拠所とした教材・学習材の開発」『日本認知言語学会論文集』第21巻(2021)など、多くの著書・論文がある。

第3回 6/25(土) 講師:柴田美紀先生・冨田祐一先生
第3回には、2000年前後には第一線の第二言語習得研究を行い、現在は、英語教育に直結した研究を行っていらっしゃるお二人を講師にお招きしました。お二人に共通しているのは、合理的で前向きで熱い語り口と「国際語としての英語」を研究・教育されていることです。柴田先生は、英語を母語としない学習者・教師・言語使用者と英語の関係の専門家で、冨田先生は、外国語教育政策を中心にした英語教育の方向性に関する研究の専門家です。このワークショップでは、お二人に、様々な視点・論点から「英語の教室で何ができるか」に迫っていただきます。
講師紹介
柴田美紀先生
Ph.D.(アリゾナ大学)。広島大学教授。リンガフランカ(国際共通語)としての英語使用者の育成という見地からの英語教育、英語学習研究やアジアにおける英語教育、英語教師の信念や英語学習者のアイデンティティの問題を研究対象とする。外国人留学生が集まり、日本人学生が外国留学を経験するグローバルキャンパスを実現した広島大学総合科学部国際共創学科設置の中心的役割を果たした。『ことばの不思議の国:言語学の魅力がわかる本』共編著(丸善出版、2020年)、『英語教育のための国際英語論—英語の多様性と国際共通語の視点から』共著(大修館書店、2020年)など、多くの著書・論文がある。

冨田祐一先生
教育学修士(上越教育大学)。学習院大学教授。都立高校教師、福島大学での教員養成を各11年間勤め、大東文化大学の環境創造学部の創設に参加。その後、英国マンチェスター大学、カザフスタンのナザルバエフ大学で教鞭をとる。NHK・Eテレの『えいごリアン』の番組委員、NHK ラジオ『基礎英語』講師としても知られている。「読字障害児相談室」(福島大学)「環境問題のための英語教育カリキュラム」(大東文化大学)を構築し、「国際語としての英語」を日本のラジオ講座に初めて導入した。『はじめてみよう小学校英語活動』(アプリコット2002年)など、多くの著書・論文がある。

第4回 7/23(土) 講師:白畑知彦先生・松村昌紀先生
最終回は、第二言語習得研究を中心とした研究と実際の英語教育に関する研究の2つの領域で、長年にわたり活躍していらっしゃったお二人からお話をいただきます。白畑先生は、生成文法理論に基づく学習者の言語知識・習得の解明や文法指導の効果などが専門で、松村先生は、複雑性ダイナミックシステム理論に基づく言語習得研究や教室での活動(タスク)を中心とした英語教育研究が専門です。お二人の言語知識や言語習得の捉え方は、対立的でもあり相補的でもあるように見えますが、英語教育に対する根本的な考え方は共通しているように思えます。お二人のご講演では、「英語の教室で何ができるか」について、この問題に関する参加者の皆さんに「身近にあるがこれまであまりよく見えていなかったもの」を捉え、より詳しく考える力を与えてくださるに違いありません。
講師紹介
白畑知彦先生 博士(文学)(大阪大学)。静岡大学教授。愛知教育大学・静岡大学大学院教育学研究科教授。日本第二言語習得学会初代会長。第二言語習得の立場から英語教育に貢献することを考えるときに有用な研究を数多く発表し、初学者向けの入門書の著書も多い。『英語教師がおさえておきたいことばの基礎的知識』(大修館書店、2021年)『教科開発学を創る 第3集』分担執筆(愛知教育大学出版、2021年)、『英語のしくみと教え方―こころ・ことば・学びの理論をもとにして』単著(くろしお出版、2020年)など、多くの著書・論文がある。

松村昌紀先生 学校教育学修士(兵庫教育大学)。第二言語習得研究と英語教育研究をつなぐための方法について長年にわたり研究を行い、ここ数年は「タスク・ベース」をキーワードに日本の学校で実際に活用できる教室活動のデザインや指導法に関する研究を発表している。『タスク・ベースの英語指導─TBLTの理解と実践』編著者(大修館書店、 2017年)、『タスクを活用した英語教育のデザイン』単著(大修館書店、 2012年)、『英語教育を知る58の鍵』 単著(大修館書店、 2009年)など、多くの著書・論文がある。
